灘本唯人さんに自作を語っていただきました。
※お話いただいた言葉をギャラリースタッフがメモしたものです。


やっぱり女性を描くときにはどうしても「キレイに描いてあげないと」って義務感のようなものがあります。 いろんなタイプの女性を描きますが、体のラインだけはきちんと女性らしくなっているかどうか気にしてます。ただ画いていて面白いのは、人生の苦みを知っている中年の女性です。


男の人を描くときは気楽です。たとえば輪郭なんか三角形でも四角形でも、どんな形でもそれなりに面白い男の絵になります。
私の描く男性はどこかもの哀しくて影のある男性が多いとよく言われます。描いてる本人はそんなに意識しているわけではないのだけれど、不思議とそうなっちゃうみたいです。


長年の間たくさん描いてますから、だいたい頭のなかに入ってます。時代考証が多少違っていても、その当時を知ってる人なんて誰もいないでしょ。(笑)
着物には「縦の線」の美しさがあります。それでいて柔らかな線を画く難しさは大変です。


挿し絵はあくまで、主役となる文章の補足のようなものです。決められたスペースのなかで、文章中に描かれている人物像を、モノクロ一色できちっと絵にしなくてはならない。挿し絵の仕事はとても勉強になります。


芝居のポスターはたくさん作りました。絵を描いて自分で写植切ったりしてデザインもやってました。大変でしたけど刷り上がってくると喜びも大きいから楽しみが倍になります。


展覧会のために作る場合がほとんどです。線だけ描いて色は全部指定して、職人さんに刷ってもらいます。仕上がってきた色が気に入らないと、上からリキテックスで塗ったりして、後から手を加えることもよくあります。