ペーターズギャラリーコンペ2002 受賞者のお知らせ

この度はペーターズギャラリーコンペ2003にご応募頂きありがとうございました。
小さなギャラリーのコンペながら、たくさんのご応募がありスタッフ一同大変うれしく思っております。
審査結果をご報告させていただきます。

・応募人数…360名 (応募総点数1077点)
・受賞者…5名(各審査員がひとりを選びました)
 秋山道男賞…長野ともこ(東京)
 上田三根子賞…伊藤ちづる(愛知)
 小暮徹賞…ひろやまkyo子(大阪)
 立花ハジメ賞…ミヤワキキヨミ(東京)
 新谷雅弘賞…後藤貴志(愛知)
 敬称略・順不同

■審査を終えて各審査員の声

秋山道男賞/長野ともこ(東京)
生活感がうすく出ているのがいい。ちゃんと今の人のリアルな感じが出ている。小物や動物、背景に頼らず、ちゃんと人に焦点をおいて描いているのが良い。手足が長く、顔を小さくすると、かっこよく見えがちだけど、このイラストはアンバランスながら調和がとれているのがいい。ホワイトスペースと色で、元気な感じもしてる。いい風がとおっている。ラインをグレーにしているところも確信犯的でなかなかいい。表情とかポーズとかが、病理に感じさせてしまいそうなところがあるから気をつけるといいかも。

秋山道男さん総評

60、70、80年代をモチーフに描かれているものが目立つ。このモチーフを使いすぎると記号的で絵が見えてこない。写真の気配を感じるイラストはつまらない。どんなにつまらないことでもイラストにすると豊かに見える。絵だからこそ表現できることをもっと探そう。何を描きたいのか、明白でないと絵がこちらに向かってこないと思う。単純な絵でも長く見てられるかどうかがイラストでは大事。意外とコンピューターの作品が少なくてよかった。世界をちゃんとつくるんだという意識が大事。明るくても暗くてもいいけど大切なのは輝きとかみずみずしさがあるかということです。

 
上田三根子賞/伊藤ちづる(愛知)
なぜかデジタルな感じに見えて不思議。どこの世界かわからなくて不思議。光と影の使い方がうまい。男の人の洋服がもう少しうまく描けてるともっといい。でも一番強い光でした。

上田三根子さん総評

イラストレーションの応募が多かった。ひとりで2点以上出してくれている人が多く力作も多かったので見応えがありました。立体作品は写真の撮り方にもよるので、審査がむずかしいです。写真の作品も一枚きりで見せるのではなく、組み写真とかになっているとよいのかもしれませんね。

 
小暮徹賞/ひろやまkyo子(大阪)
オープンマインドな感じがする。いろいろなディティールが引き込まれる感じ。発想が自由だな。表現が規制されていない。記憶のカケラがちりばめられている感じ。絵の中(内容)が、立体的なので、絵が立体的に見える。“すばらしい病”をのぞけることができて、メルシー。

小暮徹さん総評

今までに見たような、すでにあるような作品が多いことが残念。見たことないのもあるのですがつまらないのが多い。表現を規制することなく自由な発想で、あなたの“すばらしい病”を見せてください。

 
立花ハジメ賞/ミヤワキキヨミ(東京)
古典的な感じもするけれど、抽象画のような感じだったり、線とかカジュアルなんだけど、完成度が高いと思いました。一つだけパーツを取出してもきれいな形ですね。混色のところとか、すごくいいです(もっとあってもいいかも)。あまり具象しない方がおもしろいのでは。説明的な絵にならない方がいいですね。イラストの下にデザインされたサインとか入っていても、またいいのでは。

立花ハジメさん総評

うまいとか、きれいとか、かわいいとかというよりも、今回は個人賞ということなので部屋に飾りたいかどうかで決めた感じもあります。

 
新谷雅弘賞/後藤貴志(愛知)
課題は多いと思うが、描くことの楽しさを知っている。細かいところにまでこだわりがある。世界を表現されていると思う。いつの時代でもなく、日本でもなく、後藤さんの世界が表現されていると思う。絵が好きだなって感じが伝わってきます。いつも新しい感覚でなきゃってことはない。奥深いところにいることも大事。課題をあたえることによって変わっていくのが、今後とても楽しみです。

新谷雅弘さん総評

変わっている部分や一生懸命なところを評価してあげることがコンペには大事なことだと思いますが、何に使ってもらいたいかというメッセージがある作品が少ない。絵を描くってことが好きな人は多いしレベルも高いのですが、どういう場面で自分のイラストが使えるか、どんな仕事をしたいかという目的が見えない。もっと意識してもいいのでは。作品は感覚的に見えるけど、結局は言葉が伝わってこないと。言葉を捕まえる力がないと、イラストレーターにはなれないですよ。注文はすべて言葉でくるのだから。


■審査員プロフィール

秋山道男
 (クリエイティブディレクター/プロデューサー)
都市、空間、商品、広告、編集、芸能、芸術、身体、食、生活…多領域の仕事群を“魅力づくり”として遂行。「価値のソムリエと呼ばれる。」資生堂文化デザイン部編集委員。2003年、『六本木ヒルズ』デビューの3ブランド(ファッション、リビング、快生活テーマ)のプロデュースが進行中。
 
小暮 徹
(フォトグラファー)
主に広告の仕事、TVコマーシャル、雑誌などを手掛ける。最近の仕事には、GATSBY、エリクシール(資生堂)CM、浜崎あゆみ(雑誌Free & Easy)などがある。
 
新谷雅弘
(アートディレクター)
※新谷さんには、当初審査員をお願いしていたイラストレーター原田治さんのピンチヒッターとして急遽ご審査いただきました。
 
立花ハジメ
(グラフィックデザイナー)
iモード公式サイト“The End”にてJAVaのプログラミングのグループ展JAVa PROGRAMmING FOR MOBILe WEB vol.1を4月1日より開催中。iアプリ時計を中心に音楽シークエンスソフトゲームを公開。参加アーティストは立花ハジメ、前田ジョン、tomato interactive、sqc.org、Ages 5 & Upexonemo等。J-Phoneは5月から。是非ご覧ください。
 
上田三根子
(イラストレーター)
明るくポップな画風をオシャレなセンスは人気が高く、広告、雑誌、装幀、CDジャケットなど、幅広い分野で活躍。最近では、おしゃれや、趣味のミステリーに関するエッセイ、雑誌の込めんテーターなど多方面で活動している。LION「キレイキレイ」シリーズキャラクター、SONYプレイステーション用ソフト「ぼくのなつやすみ」キャラクター、NHK「おしゃれ工房」「きょうの料理」タイトルバック放映中。
 


2002年現在


 
ペーターズギャラリー
コンペについて