ペーターズギャラリーコンペ2016 受賞者のお知らせ

ペーターズギャラリーコンペ2016にご応募頂いた皆様 ありがとうございました。
審査の結果をご報告します。

テーマ「人」。人物を題材にしたイラストレーショ ン。
サイズ B3サイズまで。点数制限なし、画材自由。

審査員

伊藤桂司(イラストレーター / アートディレクター)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
中谷日出(映像アートディレクター/NHK解説委員(芸術・文化担当))
宮古美智代(アートディレクター)
【敬称略・五十音順】

応募作品の中から各審査員が上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行ないます。 (2016年2月)

応募人数  342名
応募作品数 1057点

審査結果

伊藤桂司賞/あいざわりさ子(神奈川県)
鈴木成一賞/坂内拓(東京都)
中谷日出賞/船津真琴(東京都)
宮古美智代賞/福永愛美(兵庫県)
伊藤桂司賞次点/新井萌美(東京都) 戸屋ちかこ(東京都)
鈴木成一賞次点/前田泰子(東京都) 丸岡京子(東京都)
中谷日出賞次点/太田侑子(京都府) 水谷有里(東京都)
宮古美智代賞次点/吉田里子(神奈川県) チャイク(東京都)
※敬称略

■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

伊藤桂司賞 あいざわりさ子(あいざわ・りさこ)
あいざわさんの作品には、見る側を混乱させる“狂気”とハッピーな気分に導く“祝祭性”が同居 していて、なんとも不思議な魅力があります。新しいサイケデリックとでも言ったらいいのかな。
きわどいファンシー具合も曲者の証拠。活躍が楽しみですね。
   
伊藤桂司賞次点  
新井萌美(あらい・もえみ)  
布にコラージュしてドローイングや刺繍を施すという手の込んだ手法の力強い作品です。
紡ぎ出される自由度の高い重層的なイメージは、これからもどんどん発展していきそうな可能性を秘めていますね。
モノトーンをベースにした色彩のコントロールが絶妙なところなど、作者の潜在的なセンスを感じます。
   
戸屋ちかこ(とや・ちかこ)  
ザワザワと何かが起こりそうな、まるで映画の1シーンのような作品だと思います。
表層の可愛いさに隠されている屈折した物語を想像したくなりますね。
しっかりとした描写力に裏打ちされたダークメルヘンの傑作といえるでしょう。
   

伊藤桂司さん総評

人物がテーマだったということもあり、モチーフとして登場する肖像やキャラクターにたくさん出会え、とても楽しむ事が出来ました。 ただ、とてつもなく怪しかったり、最悪か最高に振り切れた見たこともないような作品が少なかったのが心残りではあります。

伊藤桂司さん最終選考
最終選考者…船津真琴、屋内獣、平野光治、扇谷みどり、井出新二、北沢あつこ、佐藤晶子(東京都)大熊友希子、名取あき(神奈川県)糸井みさ(埼玉県)青木純一(北海道)

(伊藤桂司さんの審査のながれ 一次審査→最終選考)


 
鈴木成一賞 坂内拓(ばんない・たく)
 

主観や主張といった表現からすこし離れた、俯瞰するような、眺めるような視線が新鮮です。
それは、いまを生きる人々の他者性が見る側にとっての想像の余地としてあって、たいへん物語を感じさせます。

   
鈴木成一賞次点  
前田泰子(まえだ・やすこ)  
写真をモチーフにするイラストレーターが多いなか、
とりわけオリジナリティを感じました。
対象への愛情のなせるワザなのでしょう。
   
丸岡京子(まるおか・きょうこ)  
刺繍である。手法の違いは差別化への強力な武器です。
この超アナログな手法がデジタルに管理されてるところに可能性を感じます。
   

鈴木成一さん総評

今年の応募数は例年に比して少なかった。主宰者側は熊本地震の影響? などと嘯いていたが……。昨年の感想同様、業界そのもの、活動の領域そのものがインターネットへとシフトしているのだと思う。ネットが活動の参照先としての利用から、より積極的に活動の現場として機能しているのでしょう。勿論、その傾向、傾倒に対しては世の趨勢と割り切る他ない。しかしながら周知のように、アナログとデジタル、ネットとリアル、従来のイラストとアニメやコミック、文芸でいうところの純文学とエンタメというような対比や差別はすでに雲散霧消していて、ともに等しくわれわれの環境として常態化しています。総じてイラストレーションの総量は減ってもいないし、むしろ裾野は広がっているように思う。今後はコンペティションの仕組みとして、審査対象をいかに広げられるかが課題ではないだろうか。

鈴木成一さん最終選考
最終選考者…小山義人、大野博美、坂之上正久、大森真志保、新井眞美(東京都)

(鈴木成一さん審査のながれ 一次審査→二次審査○→最終選考)

 
中谷日出賞 船津真琴(ふなつ・まこと)
穏やかな日常への憧憬
船津作品は、かつて過ごした時代や時間を懐かしく思いつつ、今目の前にある情景をダブらせているような空気感が、今まで感じたことのない人々の日常を描いているかのようですね。絵を観ているようでない、でも日常では感じ得ない臨場感が気持ちよいのです。
   
中谷日出次点  
太田侑子(おおた・ゆうこ)  
カラッとした人々の表現をこんなに湿度が高く描ける作者にとても魅力を感じました。やはり一番大切なのはその背景(何を描きたいのか?)だと思います。
そのためにもモデル(対象)選びがとても重要ですね!カラッとしたモデルからどんな湿度ある物語を感じるかが大切でしょう!
   
水谷有里(みずたに・ゆり)  
ダイナミックなタッチを生かした作風は、すでに大家の風格が感じられるほどです。しかし、あまりうまく描きすぎると
本質的なダイナミック感を失う危険性もあると思います。つねに新しい表現にチャレンジしていただくことが、お持ちのダイナミック感
を生かすポイントかもしれません。
   

中谷日出さん総評

たくさんの作品を拝見してとても充実した審査をすることができました。 作品のレベルもとても高く、バリエーションも豊富でした。 「人」という永遠のテーマに「時代性」をもってチャレンジしている作品は、イラストレーションの 新たな未来を拓く可能性を感じさせてくれました。 「時代性」とは、なぜ今この表現、この世界感を描くかということです。そんな「時代性」を感じる作品を 数多く拝見できたことをとてもうれしく思いました。 同時に、そんな作者たちをこれから精一杯応援していきたいと思いました。

中谷日出さん最終選考
最終選考者…木之上勝、星野ちいこ、楓真知子(東京都)植田陽貴(大阪府)たしまゆみ(福岡県)

(中谷日出さん審査のながれ 一次審査→二次審査→最終選考)


 
宮古美智代賞 福永愛美(ふくなが・まなみ)
 
1次選考の時から、目の印象が強く残りまた色使いが素晴らしいなと思う作品で
選ばずにはいられませんでした。
2点とも絵本の表紙のようで、
どんなお話が始まるのだろうか?と続きの絵が見たくなりました。
   
宮古美智代賞次点  
吉田里子(よしだ・さとこ)  
それぞれの作品の人物の動きに性格が出ている感じがあるのと
顔の描き方がとてもいいなと思いました。
また、同級生の誰かではないかと思わせるところがあって
「名前はなんだったっけ?」とついつい思いだそうとしてしまいました。
   
チャイク(ちゃいく)  
構図と人物の動きや視点がとても印象に残る作品でした。
いろんなスポーツをチャイクさんの視点で描いたらどんな感じなのかな?と想像しただけでも
ワクワクしました。
   
 
宮古美智代さん総評

「人」がテーマのコンペですが、表現の仕方が以前審査をした時よりも幅広くなったなぁという印象です。 ただ、ぶっちぎりで「いいっ!」「今すぐ仕事を頼みたい」と思う方は少なくなったように感じました。 今回は、自分の好みもありますが 絵を見ていて、どんな暮らしをしてるのかな?性格はこんなかな?など人物像が見えるような作品を選びました。

宮古美智代さん最終選考
高橋香緒理、山餅ミサキ、仲村直(東京都)かわいちともこ(神奈川県)サトウあこ(千葉県)南景太(岐阜県)西村隆史(兵庫県)、シンドウサヤカ(長崎県)

(宮古美智代さん審査のながれ 一次審査→二次審査→三次審査→最終選考)


PATER'S Gallery COMPETITION 2016年度受賞者展
2017年2月3日(金) - 2月15日(水) 開催予定
ペーターズギャラリー 12:00〜19:00 木曜日定休
受賞作品の展示と、各審査員賞に選ばれた4名はあらたに描き下ろした作品も展示します。




© Katsuo to Nimei

ペーターズギャラリーコンペ2016 作品募集要項

審査員

伊藤桂司(イラストレーター / アートディレクター)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
中谷日出(映像アートディレクター/NHK解説委員(芸術・文化担当))
宮古美智代(アートディレクター)
【敬称略・五十音順】

応募作品の中から4人の審査員が各々上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行います。 (2017年2月中旬予定)
受付期間 2016年6月4日(土)〜6月15日(水)12:00〜19:00 木曜定休
※入賞者には7月7日までにご連絡します。
テーマ テーマ「人」。 人物を多く描いたイラストレーター・ペーター佐藤にちなんで、人物を題材にしたイラストレーションを募集します。
作品サイズ等 B3サイズ以下。 画材自由。 点数制限なし。
立体・半立体作品は保管の都合上、写真等でご応募下さい。
※折曲がりやすい作品は厚紙などの台紙に貼り、傷つきやすい作品の表面は透明のフィルム(アセテートフィルム等)をかけてください。 トレペ不可。 額装不可。
出品料

2点まで3,000円、3点目からは1点につき1,000円 (例:5点応募の場合、計6,000円)、郵送搬入の方は無記名の定額小為替証書もしくは普通為替(郵便局で購入可能)で作品と共にお送りください。
直接搬入の方はギャラリー受付にて現金でお支払いください。 
※応募者の都合による出品料の返金は致しません。

搬入搬出 上記の受付期間中に作品を、ペーターズギャラリーに直接搬入または搬送して下さい。郵送返却の方は返送先を記入した「着払い宅配伝票貼付の返送用封筒」または「切手貼付の返送用封筒」を同封して下さい。 直接搬出の方は7月18日〜7月31日(12:00〜19:00/木定休) の間に取りに来てください。
※搬出期間を過ぎた作品はお預かりできません。 搬出日に来られない方は必ずご連絡ください。
※作品の扱いには十分気をつけますが、万一破損・紛失した場合はご容赦願います。
応募先/お問合せ ペーターズショップ アンド ギャラリー
〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-31-18
12:00〜19:00
Tel:03(3475)4947
Fax:03(3408)5127
mail:patersato@paters.co.jp
応募用紙はコチラをプリントアウトしてご利用ください。

■審査員プロフィール

伊藤桂司(いとう・けいじ)
イラストレーター / アートディレクター

1958年、東京生まれ。グラフィックワーク、アートディレクション、映像を中心に活動。2001年東京ADC賞受賞。キリンジ、PES、テイ・トウワ、スチャダラパー、高野寛、ohana、オレンジペコー、ボニー・ピンク、愛知万博EXPO2005世界公式ポスター、イギリスのクラヴェンデール、SoftBank キャンペーン、KEIJI ITO × graniph Collaborationなどのヴィジュアルを手掛ける。作品集は『LA SUPER GRANDE』(ERECT LAB.)、『FIZZY JJJAZZ』『HELLO DAWN』(共にUFB)他多数。京都造形芸術大学教授。UFG代表。

「ワクワクする作品をお待ちしています!」

 
鈴木成一(すずき・せいいち)
グラフィックデザイナー

1962年北海道生まれ。筑波大学芸術研究科修士課程中退後、1985年よりフリーに。1992年(有)鈴木成一デザイン室設立。
1994年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。エディトリアルデザインを主として現在に至る。「鈴木成一装丁イラストレーション塾」講師。
著書に『装丁を語る。』『デザイン室』(いずれもイースト・プレス刊)、『デザインの手本』(グラフィック社)。

「あたらしい才能の発見が楽しみです。」

 
中谷日出(なかや・ひで)
映像アートディレクター/NHK解説委員(芸術・文化担当)
'神奈川県生まれ
東京芸術大学大学院 美術研究科修了
イラストレーター、広告プランニング、広告映像アートディレクターとしてフリーで活動後、平成3年NHKへ第1期キャリア採用で入局後、1994年〜MIT(マサチューセッツ工科大学)派遣、その後、NHKスペシャル「人体・脳と心」のアートディレクション、NHKロゴマークデザイン、長野オリンピック国際発信公式映像 映像監督、ドラマ「DREAM TV 200X」監督などに携わる。 1999年6月NHK解説委員(芸術文化、デジタル関連担当)に就任。 2000年3月〜デジスタナビゲーターを務め現在にいたる。  Gマーク(グッドデザイン賞)の審査委員/アジアデジタルアート大賞審査委員/北九州デジタルクリエーターコンテスト審査委員長/神戸ビエンナーレ審査委員などにも取り組む。また、アートとテクノロジーの融合を目的としたWEB TV「木曜新美術館」館長も務める。

「私は、長年 若いアーチスト、イラストレーターの方々を発掘し応援する仕事をしています。このペーターズギャラリーコンペもその一環と思っています。私の言う若いは、年齢という意味ではなく挑戦する心あふれる作家という意味です。挑戦マインド満載なクリエーターの作品を楽しみにしています。」
 
宮古美智代(みやこ・みちよ)
アートディレクター

1976年生まれ イラストレーター・石倉ヒロユキ、装幀家・緒方修一のアシスタントを経て、現在フリーランス。
主な仕事に雑誌「Coyote」「MONKEY」のアートディレクション、デザインなど。

「一度見たら釘付けになるような作品を楽しみにしています。」



■ ペーターズギャラリーコンペ受賞者を訪ねて
過去のコンペ受賞者の活動をご紹介しています。

 
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