ペーターズギャラリーコンペ2004 受賞者のお知らせ

この度はペーターズギャラリーコンペ2004にご応募頂きありがとうございました。
小さなギャラリーのコンペながら、たくさんのご応募がありスタッフ一同大変うれしく思っております。
審査結果をご報告させていただきます。

・応募人数…526名 (応募総点数1474点)
・受賞者…4名(各審査員がひとりを選びました)
 安斎肇賞…かながわしんすけ(東京)
 本多路子賞…野仲千尋(大阪)
 大迫修三賞…中谷野乃(神奈川)
 天明幸子賞…宮城高子(山梨) (敬称略順不同

■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

安斎肇賞/かながわしんすけ(東京)
何を考えているか分らないんですけど、たぶん正しいと思います。すごい強いです。絵として強い。筆圧すごい。上品なんだか下品なんだかわからないけど。すっごい。

安斎肇さん総評

絵を描くって楽しいですよね。いや、そりゃまあ色々ありますけど。たくさんの力作を前に絵を描く楽しさを、また再確認させてもらいました。ありがとう。もっと楽しく、もっともっとがんばって、ビックリするような絵が描けるようになりたいです、僕も。
絵をみせてもらっている間、ペーターさんだったら、どんな選び方をするだろう?どんな絵を、この時代のどんな事を、選ぶんだろう?と、ずっと僕は思っていました。ま、結局、結論の出ぬままに、ま、結局、僕の好きな絵をみつける事に、なったわけですけど。なんか、めちゃ楽しかったです。ありがとうございました。

・最終選考者
黒田 諭 (埼玉県) 福永みえこ (東京都) 田地川 潤 (東京都) 川窪美里 (千葉県) 斉藤高志 (東京都) 吉田順一 (東京都) 久保田みほ (東京都) 三浦千晃 (神奈川県) 飯田キリコ (東京都) 中條宏治 (東京都) 入江マキ (京都府) 堀川登代 (兵庫県) 宿谷フミコ (東京都) 伊東功史 (愛知県) しむらひでき (東京都) 河本詩織 (大阪府)木村 勉 (埼玉県) 米満彩子 (神奈川県) おちあやこ (東京都) 神山麗子 (東京都) 篠原いづみ (東京都) 井上淳子 (東京都) 安藤由紀子 (東京都) 舟本枝里子 (千葉県)河村祐子 (東京都) 高橋ミワ (東京都) 宮本京子 (東京都) トヨクラタケル (大阪府) 小笠原 徹 (東京都) 永田よしこ(東京都) 柳生淳樹 (岐阜県) らたこ (東京都)

 
本多路子賞/野仲千尋(大阪)
全応募作品のなかで、いちばん大らかで清々しい絵だと思います。あまり描き込んでいないのに、何かストーリーが浮かんでくるような、そんな想像力が広がるところがいいですね。また、もし、『みづゑ』の誌面にこの絵を載せたら、絶妙な「間」を感じさせるピンクとブルーの背景が、とても生きてくるんじゃないかと思いました。この2枚だけでは、これからどういう方向に進んでいくのか判断できないところもありますが、これからも肩の凝らない伸びやかな絵を描いてほしいと思います。

本多路子さん総評

こんなに一度にたくさんの作品を見たのは初めてだったので、とても貴重な経験となりました。また、本当に数が多いので、そのなかからひとりを選ぶということの難しさを強く感じました。じっくりと観察すれば、それぞれの良い面が見えてくるとは思うのですが、ひと目で訴えかけてくるような輝きがないと賞を取ることはできないですから。せめて、金、銀、銅など3人くらい選べたらまた違うのでしょうけれど……。
今回は、あえてプロとして活躍していらっしゃる方の作品ではなく、荒削りだけれど光っている絵を選ぼうと思いました。安定したクオリティよりも、ややギャンブルかもしれないですが、この先どうなるかな?という期待感に賭けてみようと思って。これがお仕事に直接つながるかというと別の問題かもしれませんが、表現したい絵をのびのび描いていることが、なにより大切だと考えています。

・最終選考者
三舩 史 (東京都) 亀澤裕也 (東京都) 宮城高子(山梨県) 宿谷フミコ (東京都) 水野るう (東京都) 石本真裕子 (愛知県)

 
大迫修三賞/中谷野乃(神奈川)
今の時代の女の子の危うさ、怖さみたいなものが現れていて、人間を描くという中では、かなり新しい感じがしました。とてもうまい人です。ペーターさんの描いた時代の健全さに比べ、今の時代の不健全さ!?が出ていて面白いと思います。ディフォルメも激しく、かなりゆがんでいますが気にならないリアルさがあります。本人が描かれている人物になりきっている感じもいいですね。年齢も若いのでこれからに期待。もっともっと描いたら、もっとすごい人物を描くような気がします。まだ未完成だけど、その可能性に賭けてみたいですね。

大迫修三さん総評

事務局からはとくに指示がなかったのですが、人物をテーマにしたペーターさんのコンペということで、人間がしっかり描かれている(デッサン力や表現力)作品、そこにその人がいるという感じのものを最終選考まで選んだつもりです。力のある絵、時間とエネルギーをかけて、ちゃんと描いている作品がけっこうありました。みんな楽しそうに描いていて、最終選考に残った10人ほどは、表現はいろいろでしたが、出会えてよかったという作品でした。昨今の流れからはずれていると思うけど、若い人たちにはデッサンをしっかり身につけて欲しいと思っています。一生懸命描いている人を、もっともっと大事にしたいですね。

・最終選考者
田地川 潤 (東京都) 斉藤高志 (東京都) 金澤 信 (東京都) 川島慎平 (東京都) 中條宏治 (東京都) 齋藤太郎 (東京都) 小林宏光 (神奈川県) 石本真裕子 (愛知県) 小池正浩 (茨城県)永田よしこ (東京都)

 
天明幸子賞/宮城高子(山梨)
一瞬でひかれました。すべての作品を見終えても、気持ちは変わらなかったので、強い魅力のある絵なのだと思います。暖かな雰囲気や、モチーフの選び方も好きです。色のセンスも良く、色面と線の構成も上手ですね。細かい丁寧な表現や、下書きの線を残すセンスもいい感じです。2点のみの応募だったので、他の作品も見たかったことと、刺繍での作品は大変だと思うので、これからも頑張って欲しいなとの期待も込めて、選びました。

天明幸子さん総評

初めての審査だったのですが、絵のことを考え直す良いキッカケになりました。
一点ずつもっとじっくりと見ていたくなっちゃう。すごくエネルギッシュな絵が、いっぱいありました。

・最終選考者
中谷野乃 (神奈川県) 新目 恵 (東京都) 遠山 歩 (東京都) 山形 悠 (東京都) 林 鳳順 (東京都) 佐藤昌美 (埼玉県) あずみ虫 (神奈川県) もりや恵三子 (東京都) はらぐちのぶゆき (埼玉県) みずうちさとみ (東京都) 長野ともこ (東京都) 奥野史明 (神奈川県) 宿谷フミコ (東京都) 前田みつばち (神奈川県) 草刈ミカ (東京都)宮知和代 (神奈川県) 小泉直子 (東京都) 長谷川明子 (東京都) 菅野裕美 (埼玉県) 阿部さやか (東京都) 吉實 恵 (東京都) 奥田直美 (埼玉県) 門坂 朋 (東京都)


■審査員プロフィール

安齋 肇
 (イラストレーター)
週刊文春「考えるヒット」、日経クリック「かるちゃ屋ショック徒然日記」など連載中。著書に、絵本『LOVE! LOVE! LOVE!』、『タビダチくんがゆく』(アスペクト刊)。その他にJ-WAVE「TR2 Tuesday」ナビゲーター、テレビ朝日「タモリ倶楽部」
 
本多路子
(美術出版社『みづゑ』編集長)
1993年より美術出版社で書籍の編集に携わり、2001年には、当時休刊していた『みづゑ』のリニューアルを手がける。現在編集長として、アーティストのインタビューや絵やものづくりに関する記事を制作。このほか、単行本の発行、ワークショップの 催、グッズの制作など、雑誌づくりにとどまらない『みづゑ』の活動を展開中。
 
天明幸子
(イラストレータ−)
広告、出版、キャラクターデザインなどを中心に活動。
『ほぼ日刊イトイ新聞』で『しやわせかもしれない』を毎日連載するほか、携帯サイト『Mobileアート』、『SAL洋楽MANIA』では、待画を毎週連載中。
イラスト集『しやわせかもしれない』(主婦の友社)、絵本『リンとカンナ』『ヨーヨーとレス』(メディアファクトリー刊)など。東京イラストレーターズソサエティ会員。
□ホームページ http://www.land-net.co.jp/~rabbits/
 
大迫修三
(クリエイションギャラリーG8、ガーディアン・ガーデンデレクター)
1953 年東京生まれ。76年多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業。同年日本リクルートセンター〈現リクルート〉入社。85年G7ギャラリー〈現クリエイションギャラリーG8〉の開設時より、企画・運営を担当。また、90年ガーディアン・ガーデンを創設し、現在までに両スペースを通じて520本の企画展をプロデュースしている。
 

2004年現在

 
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