ペーターズギャラリーコンペ2009 受賞者のお知らせ

ペーターズギャラリーコンペ2009にご応募頂いた皆様ありがとうございました。
審査の結果をご報告します。

テーマ 「人」。人物を題材にしたイラストレーション。
サイズ B3サイズまで。点数制限なし、画材自由。

審査員 下谷二助 (イラストレーター)
      鈴木成一(装幀家) 
      夏石鈴子(作家) 
      宮古美智代(アートディレクター)  ※五十音順・敬称略

応募作品の中から各審査員が上位3名を選出し、賞を決定しました。

応募人数  606人
応募作品数 2065点

審査結果

下谷二助賞/田中洋平(宮崎県)
鈴木成一賞/辻恵(愛知県)
夏石鈴子賞/川口育子(東京都)
宮古美智代賞/瀬島志保子(東京都)

下谷二助賞次点/宮田篤(東京都)、ヒラノトシユキ(大阪府)
鈴木成一賞次点/日端奈奈子(神奈川県)、北住ユキ(東京都)
夏石鈴子賞次点/鈴木衣津子(東京都)、MEL(千葉県)
宮古美智代賞次点/友野可奈子(茨城県)、石山好宏(東京都)

(敬称略順不同)

■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

下谷二助賞/田中洋平(宮崎県)
   
下谷二助賞次点  
宮田篤(東京都) ヒラノトシユキ(大阪府)
 最後に残った三人は、どの絵もいいデザイナーの手にかかってしっかりした仕事をしてもらうと、いい作品に仕上がると思う。存在感があるということでしょう。
こういうコンペでは、自分だけの世界というか、アイディアを実現しようとしている人、そういう姿勢が感じられる人の作品を好ましいと思う。そういう意味で田中さんを選びました。
  この絵のアイディアは、この人がずっと探し求めてきたものなのか、それとも偶然得られたものなのかは解らないけれど、少なくとも自分だけのアイディアを探して、それを描こうとしているように見える。そこを高く評価したいと思います。

下谷二助さん総評

 応募作品のなかにある種のトレンド、流行的な手法や技法、絵の描き方があるように感じました。そういうものは最初に誰かが試みた段階ではとても新鮮だけれど、それに流される人が増えてくると柳の下の泥鰌(ルビ;ドジョウ)というのか、見あきた絵をまた見せられているという感じがしてしまいます。新鮮な驚きや感動が伴わない。それは残念なことですし、応募する人からすると不利だと思います。
  イラストレーターならずクリエイターというのは常に、新しいこと、誰の手あかもついてないテーマ、アイディア、技法、そういうものをいつも探しているものだと思います。少なくとも若いうちぐらいはそうあってほしい。
  スタイルというものを早々に身に付けて、手っ取り早くイラストレーターになりたいというのではなく、若いうちは一回一回テーマを与えられたら、その都度白紙の上に立って、さてどうするべきか考える、という姿勢が好ましいと思う。一方で世の中はまるで消耗品のように常にスタイルを求める現状もあるので難しいところだろうけれど。

最終選考者
佐藤香苗(東京都) IC4DESIGN(広島県) 森由香里(東京都) さわだえり(東京都) 鈴木衣津子(東京都) J.F.Kooya(大阪府) 井内愛(東京都) 山本恵美子(奈良県)

 
鈴木成一賞/辻恵(愛知県)
 
   
鈴木成一賞次点  
日端奈奈子(神奈川県) 北住ユキ(東京都)

自分の世界観がしっかりあって、見ていると絵に流れる独特の時間に引き込まれていく。非常に物語を感じさせる絵だと思います。空気感が凛としていてとても気持ちよい。背景の作り方、構図の組み方も独特でいいですね。とくに牛の絵がいいです。


鈴木成一さんの総評

普段からたくさん絵を描いて鍛えている人とそうでない人との差が極端ですね。自分の作品がどうあるべきか、自分としっかり対話している人の絵は見てすぐにわかる。職業柄、どうしてもしっかり描いている、そういう人を選んでしまいます。
中には、荒削りだけれど気になる人もいましたが、センスだけではひとに伝わりません。やはり鍛えていないといけませんね。

最終選考者
ハヤシフミカ(東京都) 上路ナオ子(神奈川県) 宮木ミチル(埼玉県) 楠みづ子(東京都) 瀬島志保子(東京都) 佐藤香苗(東京都)

 
夏石鈴子賞/川口育子(東京都)
   
夏石鈴子賞次点  
鈴木衣津子(東京都) MEL(千葉県)

 とてもうまい人です。センスがありますね。おしろいの甘い香りと、髪の匂いを感じる絵です。見ていると恋愛小説を書きたくなる。日本の昔の映画で、女優さんたちをたくさん見てほしい。私生活でもありとあらゆることをして、男には絶対描けない絵を描いていって下さい。期待しています。あなたならできる。

夏石鈴子賞次点/鈴木衣津子(東京都)、MEL(千葉県)


夏石鈴子さんの総評

人に見せるということ
  今回たくさんの絵を拝見して、不思議に思ったのは、一人よがりにただ不機嫌さをぶつけている作品が多かったことでした。作品を見せているのではなくて、ご自分の気持を見せているようでした。
  イラストレーターというのは、絵が上手に描ければなれるわけでなく、人から依頼されて初めて職業として成立します。そのことを忘れないで下さい。頼まれたことは一体何か。それを正しく理解できないと、仕事になりません。作家や編集者は、「あなたの絵の力で、なんとかこの本を勝たせて下さい」という気持なのです。相手とのコミュニケーションを取る力がなく、愛も礼儀もなく、興味は唯一自分のことだけ、という人はイラストレーターには向いていません。そういう人は困る。依頼する側として、はっきり申し上げておきます。
  作品の見せ方にしても、自分の作品なのになぜこうも雑なままで構わないのだろう、と思うものもありました。仕事として絵を描いていこうと思うなら、ふてくされず幼稚にもならず、人に見せるということをもっと真剣に考えて下さい。

最終選考者
鈴木紗穂(神奈川県) 北村裕花(東京都)

 
宮古美智代賞/瀬島志保子(東京都)
 
   
宮古美智代賞次点  
友野可奈子(茨城県) 石山好宏(東京都)

この人に仕事をお願いしたら、どんな絵を描いてくれるんだろう。
と、自分がわくわくするかな?しないかな?ということを思って応募作品を見ました。最後に残った三名の作品は、実際に自分の隣にいてもおかしくない人たちが描かれていて、見ているとその人が話しかけてきそうでした。
  中でも瀬島さんの作品はとくに息や体温が感じられる絵でした。タイトルの付け方からも、何を描きたいかがはっきりしていて、これは、コンペのテーマとも合っているように思いました。


宮古美智代さん総評

 人物を描いているんだけれど、実は自分の頭の中にあるイメージを描いているのではと感じされられる作品が多かったです。きちんと人を理解した上でシンプルにしていくのと、ただシンプルに描くのとでは大きな違いがあって、その差は大きいと思います。
  こうやってたくさんの絵を見ていても、しっかりと人を見ている人の絵は、たとえ上手じゃなくても伝わってくるものだなぁと思いました。

最終選考者
永井望(兵庫県) yukiiro (東京都) 相澤泉水(東京都) 野口奈緒子(埼玉県) クボ桂汰(東京都) 米原薫(東京都) 中野美奈(奈良県) 長澤一憲(愛知県)

7月27日発売の玄光社「イラストレーション」誌にも審査結果と受賞作品が掲載されます。

PATER'S Gallery COMPETITION 2009受賞者展
2010年2月12日(金) - 2月24日(水) 12:00〜19:00 木曜日定休


今回の受賞者12人による展覧会を行います。
ぜひ見にいらしてください。。


■審査員プロフィール

下谷二助(しもたに・にすけ)

イラストレーター。1942年東京生まれ。90年講談社出版文化賞さしえ賞、91年講談社『年鑑日本のイラストレーション』作家賞ほか受賞。ネズミ捕り器やバケツなど世界の雑貨コレクターでもあり、87年「バケツ展」、92年「ニスケは何を考えているのか展」、93年「ネズミ捕り器の新しい設計図展」、97年「人じん展」ほかの個展を開催。著書には『ネズミ事師の仕事と生活』情報センター出版局『しゃべる肉体』共著、講談社、『描く書くしかじか』旬報社ほかがある。

 
鈴木成一(すずき・せいいち) グラフィックデザイナー。1962年北海道生まれ。筑波大学芸術研究科修士課程中退後、1985年よりフリーに。1992年(有)鈴木成一デザイン室設立。1994年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。エディトリアルデザインを主として現在に至る。目の醒めるような輝くイラストレーションを希望します。
 
夏石鈴子(なついし・すずこ) 作家。1963年東京生まれ。'97年「リトルモア」夏の号、「バイブを買いに」でデビュー。著書『バイブを買いに』『いらっしゃいませ』『新解さんの読み方』『新解さんリターンズ』『きっと、大丈夫』(全て、角川文庫)、『愛情日誌』『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』(マガジンハウス)、『家内安全』(ちくま文庫)、『夏の力道山』(筑摩書房)。
昨年十月に出した『今日もやっぱり処女でした』(角川学芸出版、シリーズ三巻のうちの一巻め)はイラストレーター志望の二十四歳、派遣社員・山口あおばの物語。最新刊『きのうと同じに見えるけど』(角川学芸出版)は、あおばの物語の続編。
 
宮古美智代(みやこ・みちよ) アートディレクター。1976年生まれ。イラストレーター・石倉ヒロユキ、装幀家・緒方修一のアシスタントを経て、現在、雑誌「Coyote」「the寂聴」のアートディレクター。
文章を読み、感じたもの・コトを思い切り描くイラストレーターと出会えることをたのしみにしています。




© SATO MASAMI

ペーターズギャラリーコンペ2009 作品募集要項

審査員 下谷二助 (イラストレーター)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
夏石鈴子(作家)・
宮古美智代(アートディレクター)
※五十音順・敬称略
応募作品の中から4人の審査員が各々上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行います。 (2010年2月中旬予定)
受付期間 2009年6月6日(土)〜6月18日(木)12:00〜19:00
※木曜日は定休日ですが受付期間中の木曜日はオープンしています。
※入賞者には7月中頃までにご連絡します。
テーマ テーマは「人」。人物を多く描いたイラストレーター・ペーター佐藤にちなんで、人物を題材にしたイラストレーションを募集します。
作品サイズ等 B3サイズ以下。 画材自由。 点数制限はありません。
※立体・半立体作品は保管の都合上写真等でご応募下さい。
※折曲がりやすい作品は厚紙などの台紙に貼り、傷つきやすい作品の表面は透明のフィルム(アセテートフィルム等)をかけてください。 トレペ不可。 額装不可。
出品料

2点まで3,000円、3点目からは1点につき1,000円 (例:5点応募の場合、計6,000円)、郵送搬入の方は無記名の定額小為替証書(郵便局で購入可能)で作品とともにお送りください。
直接搬入の方はギャラリー受付にて現金でお支払い下さい。
※応募者の都合による出品料の返金は致しません。

応募方法

応募票をプリントして必要事項を記入し、応募票は出品料、作品とともに提出してください。
各作品の裏面に応募票のコピーを貼付してください。(複数必要の場合はコピーしてご使用ください。手描き可)

搬入搬出 上記の受付期間中に作品応募票出品料をあわせてペーターズギャラリーに直接搬入または搬送して下さい。
郵送返却の方は返送先を記入した「着払い宅配伝票貼付の返送用封筒」または「切手貼付の返送用封筒」を同封して下さい。
直接搬出の方は7月17日〜29日(12:00〜19:00/木定休) の間に取りに来てください。
※搬出期間を過ぎた作品はお預かりできません。 搬出日に来られない方は必ずご連絡ください。
※作品の扱いには十分気をつけますが、万一破損・紛失した場合はご容赦願います。
応募先 ペーターズショップ アンド ギャラリー
〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-31-18
12:00〜19:00/木曜定休(ただし受付期間中の木曜日はオープン) 
Tel:03(3475)4947
Fax:03(3408)5127
mail:patersato@paters.co.jp
応募用紙はコチラをプリントアウトしてご利用ください。

■審査員プロフィール

下谷二助(しもたに・にすけ)

イラストレーター。1942年東京生まれ。90年講談社出版文化賞さしえ賞、91年講談社『年鑑日本のイラストレーション』作家賞ほか受賞。ネズミ捕り器やバケツなど世界の雑貨コレクターでもあり、87年「バケツ展」、92年「ニスケは何を考えているのか展」、93年「ネズミ捕り器の新しい設計図展」、97年「人じん展」ほかの個展を開催。著書には『ネズミ事師の仕事と生活』情報センター出版局『しゃべる肉体』共著、講談社、『描く書くしかじか』旬報社ほかがある。

 
鈴木成一(すずき・せいいち) グラフィックデザイナー。1962年北海道生まれ。筑波大学芸術研究科修士課程中退後、1985年よりフリーに。1992年(有)鈴木成一デザイン室設立。1994年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。エディトリアルデザインを主として現在に至る。目の醒めるような輝くイラストレーションを希望します。
 
夏石鈴子(なついし・すずこ) 作家。1963年東京生まれ。'97年「リトルモア」夏の号、「バイブを買いに」でデビュー。著書『バイブを買いに』『いらっしゃいませ』『新解さんの読み方』『新解さんリターンズ』『きっと、大丈夫』(全て、角川文庫)、『愛情日誌』『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』(マガジンハウス)、『家内安全』(ちくま文庫)、『夏の力道山』(筑摩書房)。
昨年十月に出した『今日もやっぱり処女でした』(角川学芸出版、シリーズ三巻のうちの一巻め)はイラストレーター志望の二十四歳、派遣社員・山口あおばの物語。現在もweb角川学芸出版にて連載中。
 
宮古美智代(みやこ・みちよ) アートディレクター。1976年生まれ。イラストレーター・石倉ヒロユキ、装幀家・緒方修一のアシスタントを経て、現在、雑誌「Coyote」「the寂聴」のアートディレクター。
文章を読み、感じたもの・コトを思い切り描くイラストレーターと出会えることをたのしみにしています。


■ ペーターズギャラリーコンペ受賞者を訪ねて
過去のコンペ受賞者の活動をご紹介しています。

 
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